国家から個人へ

近代国家の時代が終わろうとしている。中身に必然性のない組織は大きければ大きいほど、解体は急速に訪れる。私は自民党の復活は金輪際ないと思うが、自民党に限らず、近代国家そのものの解体が迫っている。そうなると、大きな組織のかわりに個人の個性が光ってくる。何かにしがみついて安心を得ようとする人はこれから苦しくなってくる。自分には大した力はないが、仕方無いから何かを自分で考えてやっていこう、、、という人は、これから面白くなってくる。成功してビルを建てるとか、日本一になろうとか、世界一だという価値感は個性の一つにまでその存在感を下げていく。年収200万円でも2000万円でも、幸福感とは関係ない世界が広がる。生命本位制の改革が進むだろうから、お金の前で軽くなった命が復活を見せる。
 本当にこれまでは何でも金だった。金儲けすることが大切で、金儲けする人が偉かった。いま思えば、気持ち悪い時代だった。そうした価値観の中で、トヨタの奥田など、なんであんなに威張ってるのか、、、と思うほど威張っていた。トヨタに限らず、経団連の上の方は、概して貧しい人間が多かった気がする。政財官の一体化したあの香りが私は嫌いだった。大の大人が、パーティに出されたビールが、キリンだと言って怒ったり、アサヒだと言っては機嫌が悪くなる、そんな姿を見ると、本当はバカだったのではないか、と思わざるを得ない。誰かに似ている、、、、と思ったが、考えてみると、それは日本を敗戦に追い込んだ軍部と似ている。人の命を軽く扱った軍部がスーツに着替えた形での繁栄だった。しかしもうそういう勢力はこれから崩れていく。急速に崩れていく。
 これから大切なことは、才能や能力よりも、個性の中に潜むその人の香りである。人柄と言ってもよい。そう、あなたらしさである。こういうと、そんな甘いことでやっていけるのか、、、と古い頭の人が騒ぐが、お金がお金の時代を壊したのだ。すでに時代を動かすものは変わっている。仕事でもそうだ。命を育てるセンスがある普通の女性たちが協力して仕事を始めたら、まず、成功する。補助金だとか権利だとか言い出す男が始めたことは、必ず大失敗する。現在のところ、まだまだ、後者のタイプが力を握っているから、どの事業も失敗するだろう。