メリークリスマス

クリスマスを心から楽しみにしていたのは、中学生から大学時代だった。私はキリスト教の教会にその頃熱心に通っていた。だからクリスマスといえば、やはり教会のクリスマスが思い出される。イブの晩はキャロリングがあった。ローソクを片手に賛美歌を歌いながら協会員の家に行き、賛美歌のリクエストを聞いたりして歌ってあげる。帰りにはお菓子をもらい、戻ってからストーブの前でそれを食べるのだ。聖書の朗読が私は好きだった。クリスマス礼拝やクリスマスの祝会では、必ずクリスマスにちなんだ箇所の聖書の朗読がある。大体は、その頃、全世界の人口調査をせよとの勅令が皇帝アウグストから下った、、、という確か使徒行伝の2章だったとおもうが、そこから始まる。そして最後は黙示録の最後、しかり私はすぐに来る、アーメン、主イエスよ来たりませ、で終えるのが定番だった。間はイエスの言葉が多い。イエスの言葉は私は大好きだった。ドストエフスキーも確か牢獄に捉えられていたか、不運だった時代に聖書を精読し、イエスの言葉に愛の人であることを力説したが、確かにイエスの言葉は愛そのものなのだ。教条的なものを遠ざけ、官僚的なるものに挑戦し、そして捉えられ、ころされていったイエス。私は神というよりも、人間イエスに本気で魅せられてしまった。それは今でも同じ気持ちである。イエスが神であろうがなかろうが私にとってはどうでもいい、その人間性が素晴らしいのだ。まさに愛の人がイエスであった。私は萩尾もとのファンだが、萩尾もとの漫画の中にはイエスの理解が変でそれだけは気になった。イエスが説いたのはまさに愛であり、イエス理解とは愛がこの世の根底にあることを知ることに他ならない。時代はしかし一時的に逆行していて、イエスのそうした理解を遠ざけようと進んでいる。教会からもイエスのそうした面を消す流れさえ見える。イエスは旅で色々な場所に行くが、決まって、そこではその地で嫌われ、さげすまされている人の家に泊まった。聖書では収税人の話が有名だ。収税人はみなから嫌われていて、イエスが町に入ると木の上から見ている。近くにはおおぜいの人がいて行くことが出来ないためだ。イエスは近寄って、その収税人に言う。今宵はあなたの家に泊まろう、、、すべてがこの調子である。目が不自由なひとがイエスを探して近づいてくる、、、イエスは言う。私にどうしてほしいのか、、主よ、見えるようになることです。では、そうなりなさい。と奇跡を起こして目を治してあげる。とにかく無条件に助ける。愛というよりも慈悲の人である。十字架の上では左右に貼り付けにかかった人がいた。一方はイエスを呪って悪口ばかりを言う。しかしもう一方の人は、あなたは何も悪いことをしていないのに十字架につけられてしまった、、もしあちらの世に言ったときに、私のことを少しでも思い出してくださればうれしい、、、、というと、イエスはすぐに返して語る。今宵あなたは私と共にパラダイスにいるであろう。と。とにかくやさしいのである。群集に囲まれて身動きがとれないようなときに、イエスの衣に触った女がいた。イエスはからだから力が出て行くのを察して、誰だ、私の衣に触れたのは、、、と尋ねる。すると恐る恐る女が出てきて、せめて衣にフレさえもすれば、長年の病が癒されるとおもったのです、、、と謝る。するとイエスは言う。あなたの信仰があなたを救った。どうぞ行きなさい、そして元気でいなさい、、、、。という。こうして救った人は、当時のユダヤ人が嫌っていた、サマリユ人や異邦人が多かった。それ自体が常識はずれなことだったのだ。要するに、なんであんな人を助けるの、、、という感覚だったはずだ、周囲の人は。そうした点を立法学者がついてくる。主よ、あなたの教えは素晴らしい、、、ところで、シーザーに税金を払ったほうがいいでしょうか、それとも払う必要はないでしょうか、、、という質問。払う必要がない、ということになれば、それはシーザーにはむかう反逆者として捕まえられるわけの、意地悪質問だった。イエスはその悪意を見抜いて尋ねる。コインを見せなさい、、。律法学者はデナリコインを渡す。イエスはコインの肖像を見て学者に尋ねる。この肖像は誰だ。学者はこたえる。シーザーです。するとイエスは言う。では、シーザーのものはシーザーに神のものは神に返しなさい。と。この研ぎ澄まされた知恵は根底が愛によって支えられた知恵であることが分かる。イエスはすべてがその調子である。実際の誕生日はクリスマスではないが、ヨーロッパの冬至の祭りと重なってクリスマスとなったのだろう。イエスが生まれたとき、不思議な星を見た三人の博士がイエスの誕生を知り、飼葉桶のイエスにお祝いに出向く。お祝いの品は、黄金、もつやく、乳香の三つだった。私も今夜は黄金ではないが、真鍮の置物、もつやくはミルラという香り。そして乳香はフランキンセンスというこれも香りだが、三つをそばに置いて楽しもう。あとは賛美歌を歌いたいが、今年のクリスマスは東京アトリエなので、口ずさむ程度で少し心残り。写真はてづくりの小さなツリーです。ヒルズの木の枝を切ってつくったもの。少し曲がってるね。