ある御製、、ある御歌、、
御製とは、天皇陛下が作られた和歌のことを言います。一般にはあまり知られてない言葉ですが、たまたま披講の勉強会をやっていたため、私もその時知ったにすぎません。
天皇陛下というお立ち場は、自由にご自身のお考えを気楽に言うわけにはいきません。
しかし陛下も人間天皇に戦後はなられたのですから、一人の人としての思いもおつらさもきっと感じられることでしょう。
陛下や皇后のお気持ちは、時折、和歌にしたためられます。陛下のお歌を御製といい、皇后様のお歌を御歌と言います。
主に、年の初めの宮中歌会はじめは重要で、歌を歌うことでその年の年魂を活気づける意味もあったと思われます。日本は言霊の国ですから、和歌で始まるんですね。
御製、御歌には本当に素晴らしい歌がたくさんあります。
私がとくに打たれたのは、歌会始のお題が「生」の年の御歌。
生命あるもののかなしさ早春の光のなかに揺り蚊の舞ふ
揺り蚊とは、よく川辺の上を集団で飛び舞う蚊のことだと思います。はかない蚊の命にたいして、命あるもののかなしさ、、、とよびかけれた古今東西の支配者など、ひとりもいないと思うのです。
皇后陛下の魂が到達された地点は、命の一体感であり、それ以上の平等感はない、生きとし生けるものへの思いです。宇宙はこうしたものを本当に喜ぶことでしょう。
このようなお歌を披講して歌えることは無上の喜びでもあるのですが、今、どうしても歌いたいのは、平成九年の天皇陛下の御製です。
疎開児の命いだきて沈みたる船深海に見出だされけり
70年前にアメリカの魚雷によって撃沈された疎開児を乗せた船の慰霊が本日あったようです。そしてこの御製はさかのぼる平成9年に、深海に沈んだ船の船影が発見された際に詠まれた御製でした。
天皇皇后両陛下の思いがどういうものかは、私のような者にわかるわけもありませんが、それでも、憲法変更とか集団的自衛だとか抜かしているレベルとは、まったく違うということだけはわかります。
国会議員は蚊の命を歌えるのか、、罪のない疎開児の悲劇を70年たっても忘れない思いが、今の政権にあるのか、、あるわけもないのに威張っているのです。
金儲けと権力志向による時代支配、そういう者による命の支配など、もう終えていってほしいと思います。