しがみつく理由
年収二千万、三千万というと、一般には勝ち組と思われる。ことに本人はそう思っているに違いない。
豊かともなれば自然と礼節が生じ、貧しい者へのいたわりが出てくるのが当然なのだが、そうも見えない。
人生、もう金じゃない、、、という意識にどういうわけか至れない。
一流企業の部長以上のクラス、官僚、上級公務員クラス、銀行の上の方、もう金じゃないどころか、企業家や政治家まで含め、今の体制に皆しがみついているように見える。
その大きな理由に、あまり取り上げられないことがある。彼らは一般的には優秀で頭がよく、負けず嫌いである。
自分たちは勉強の戦いに勝ち残った優秀な人間で、ほかの一般の人間とは違うと本気で信じている。
それって、金融の使い手から見たら、一番の実はカモなのである。
「選ばれた方のみへのご案内、、、」という特別枠に簡単にはまってしまう。ことに、自分よりも上の専務、常務、社長が、同じ投資を行っていると耳にすれば、右へ習えで同じ轍を踏むのは目に見えるようではないか。
秀才は叩き上げではないので、イノチのしなやかさやしたたかさを持っていない。それでいて自分を特別視する。
カモの典型となる。出世街道を歩む中で、彼らは相当な投資に走っている。自分が偉大であると思う人ほど、見事にはまる。
彼らが購入した土地、家、高級会員権、株式は、勧誘に乗ってのものなので、まず高値つかみで間違いない。
半分、、、三分の一、、、場合によっては十分の一、、彼らはプライドが高いから決して顔には出さない。
自分の上司たちも同様であることを知っているので、顔と口には出さぬものの、本当は負け組としての互助精神と社会への不信感が実は共通しているかもしれない。
しかし優秀な彼らが自分を負け組などと認めることは絶対にできない。認めるくらいならば死んだ方がまだ増しだと思っている。
そしてこうした表面勝ち組、実は負け組がそろって現体制を固めている。固持するしか生き延びる方法がない。
現政権はそうした勢力が作り出した政権であると思えば、けっこう見えてくるものがある。
バブル負け組の最終の希望をかけた政権なのだ。なので何がおかしかろうが、つじつまがあわないだろうが、賭け続けるしかない。
これで挽回するしかない。なのでどこまでもしがみつく。一般国民を殺そうがダメにしようが、関係ない。自分の尻に、名誉に火がついているのだから、それどころではないのだ。
投資で負けた秀才本位制の最後の望みを託した政権だと思うと、けっこう当たっている面が見える。
なので、この政権は株式が下落することであえなく崩壊する運命を持つ。そうなる前に戦争なりごちゃごちゃの非常事態を作れるか、、、世界の不安をよそに戦争にまっしぐらに進もうとする性急さの理由も見えてくる。