マリイアントワネット

断頭台に消えたマリイアントワネットは革命側からすれば悪い人でなければならない。そのため、ずっと悪く言われてきた。たとえば、パリ市民がパンがなくおなかをすかしている、、、と聞いて、では、ケーキを食べればいいではないですか。とアントワネットが答えた、、、というような類のものだが、誰でも一度は聞いたことがあるだろう。私も学生時代はそんなこともあったのだろうか、と思ってきたが、以前、馬野周二先生がマリイアントワネットについて、あのトリアノンを見れば、アントワネットが世間で言われているようなものと違い、一流の人物であることが分かる、ということをよく話しておられたことを思い出す。なぜアントワネットのことなどに話しが行くのかというと、先日、新宿高島屋4階にある今田美奈子先生のサロンにお邪魔した。大変おいしいケーキをいただき感動したが、今田先生とアントワネットの縁はご存知の方はすでに知っていると思う。そこで私は今田先生に昔からそのことを語っている工学博士がいる、というお話しをしたら、非常に興味深くうなづかれた。故人の持ち物や、とくに家や庭を見れば、おおよそのことはわかるという人がいる。とくに庭には隠しようもないその人物の姿が出てくるらしい。馬野博士はマスコミから総スカンされている天才だが、やはり天才らしくマリイアントワネットの心と魂をつかんだのだと思う。今田先生も同様である。先生の場合はアントワネットから直にそのイメージをおそらく受け取られているのだろう。歴史というのは、殺されたらおしまい、という面と、その思いがかえって高まりを見せて増幅していくケースがある。アントワネットはおそらくこれから再評価されるようになっていくだろう。それはフランス革命の暗黒部分を同時に表に出すことにもなる。断頭台の上で、思わずふらつき、死刑執行人の足を踏んでしまったアントワネットは「あっ、失礼しました」と謝る。人間性の清らかさには隠しきれないものがある。
 しかしアントワネットが現代の日本人に伝えようとしているものは何なのか。フランスと日本にどんな隠された関係性があるのか。歌を通して探ってみたい、そんな気持ちが芽生えつつある。