はやぶさ帰還 に見られる日本のやり方

7年ぶりにはやぶさが奇跡の帰還。はやぶさは日本人のやり方を示してくれた。私が歌手名で出した初めてのアルバム、母音物語の中で、角田忠信教授は、日本人の脳はきわめて特殊な母音発生脳となっているので、西洋と同一線上にいたらだめで、なんでもいいから違ったやり方で考えてやってみることの重要性を語る。するととんでもないもの、これまででは考えもつかなかったようなものができる、、、という。今回のはやぶさは小惑星探査という、西洋科学技術のすきまを縫って実行できた日本の宇宙技術の集大成であった。そこには、宇宙を目指すことを許されなかった分、逆に日本らしさが随所に出ることになる。具体的には各自で御調べ願いたいが、はやぶさが私たちに与えた感動は、どちらが上だとか言うのとは違い、スペースシャトル打ち上げに涙を流したアメリカ人の感動とは、また異なる涙であった。幾多の困難をスタッフ全員の知恵と努力で対処すると、はやぶさはまさにそれに奇跡的にこたえる。いつしか人類とはやぶさとの間には機械を操作する人間と宇宙船との区別はなくなり、一体の思いとなっていく。そしてスペースシャトルは何度も帰還して往復するが、はやぶさは一回きりの使命を終えて、美しく大気圏で燃え尽きていく。大気圏突入直前、スタッフははやぶさのカメラの位置を逆転させ、はやぶさが見た地球最後の姿を映す。こうした計らいは、それを見た大勢の人の心にも届く。宇宙競争に明け暮れる戦争勝利国のすき間を縫って、わずかに小惑星探査という地味なものだけが許された中で、これだけの感動を世界に与えることができたのは、日本人の脳という特殊性と関係している。日本のやり方はこれでいいのだ。負けてもいい、、負けて負けて負けつつているうちにどうにもならなく勝っていく。新幹線もフランスに遠慮して最高速度を極端に遠慮しなくてはならない構図の中で、遠慮しているうちにその技術力の差異がかえって現実とのかい離の中で、目立ってくる。そして誰もフランス新幹線の方が上などと言えなくなってしまう。日本は一言もこちらが上などとは言ってなくてもそうなる。もっといえば、勝負する土俵自体をもっと変えていくことに尽きる。私は郵政が乗っ取られるなら、それはそれでもう仕方ないと思いだしている。派遣社員の救済する法律もお流れになったが、これで日本ではますます格差が生じてくることもわかる。しかし、もう少しの辛抱だ。働けなくなった、、、生活できなくなった人が多くなるがゆえに、必ず新しいものがこの日本から生み出される。いじめられればいじめられるほど、日本人の脳は新しいものを作り出す。だから泣き言は言わずにおこう。母音物語は日本人の言葉の特殊性、母音発生と母音と子音が組んだ形の言葉に、無限の可能性を見出し、それを和歌の披講によって具体的に再現し、それが癒しの周波数と次元を超える倍音の発生を確かめることによって実証するという、本源的な姿勢によって完成した。日本人には日本語がある。これがあるうちは、どちらが上ということではなくて、西洋とは、本当はやり方が違ってこなくてはいけないのだ。脳が違うのだから。角田理論はこれを日本人の優位性と受け取られて批判を浴びたことがあるが、まったくの筋違いである。あくまで、違うのだ、、、ということを実証したに過ぎない。争えば西洋は強い。しかし、和する力は日本の脳は有利だ。母音と子音が組んだ言葉は和そのもの。そこから生み出される科学、芸術、文化は西洋とは本来異なって当たり前なのである。はやぶさは、小惑星探査という限られたジャンルに閉じ込められたからこそ日本人らしく科学を扱うことができた。そしてそれが奇跡と感動をもたらした。日本の文化はすべてそうである。限定された方が強い。和歌は31文字に限定されているからこそ、その中で命が生まれる。盆栽も限定され制限があっての世界である。人の一生は80年。限定されているからこその文化、科学でよいのではないか。臓器を盗んで何歳までも生き延びようとする医学と異なる医学がなければいけない。限定された数十年の人生だからこそのもので生きなければ人は不幸ではないだろうか。だから私たちは第二、第三のはやぶさを作っていけばいい。その際、世界からどんなに痛めつけられても、邪魔されても、図られてもかまわない。負けて負けて勝つことになる。日本人の脳のやり方でやっていきさえすればそうなる。ただし日本の中でも今までは西洋脳的なやり方が勝ってきた。しかしそれもこれまでだ。逆転は近い。ずるい能力だけで上に立ってきた者と、誠実で努力するにも関わらず、周囲のずるさによって虐げられてきた者との間に、もうすぐ逆転が起きる。そうしなければ全体が滅んでしまうからだ。はやぶさの快挙は日本人のやり方を世界に示した。こうしたことが、今、続々と起きだしている。石油を破壊して人類を道連れにするようなやり方も一方にはもしかしたらあるのかもしれないが、これも最後の最後には人類愛の科学技術が救うことになるだろうし、中国の公害もきっとそうしたものが救うだろう。戦争の無益さも特権意識のインチキも、やがて和の科学技術とその思いが救うだろう。だから日本人は自信を持っていい。とくに下層の人、虐げられている人、派遣でつらい立場の人、、、工夫することだ。未来はあなたがたが考えているような絶望とは違うぞ。しかしはやぶさは、映画にしてもらいたいな。