豊田社長が得たもの
アメリカの公聴会に出席した豊田社長は、大変な緊張だったと思う。その後の会社関係の説明会では、私は皆と共にいた、、、という自分の言葉で思わず涙を流した。私はかなり以前から一貫してトヨタを悪く言ってきたが、それは奥田路線のインチキに対してである。このトヨタ一大事に至って、その原因をもろに作った奥田はどこにも表れない。それは豊田社長が奥田を嫌っているからだと思う。よくない言い方かもしれないが、あいつらにやられた、、、と、豊田社長は思っているのだろう。あいつらとは、もちろん、奥田や前社長などだ。私が奥田を嫌いになったのは、トヨタ自体の体質の悪い面を助長したこと以外に、住宅メーカーとの問題があった。詳しくは知らないが、その住宅メーカーは北国の雪で押しつぶされる家を見ながら育った社長が、決してつぶれない家をつくりたい、、、との使命によって家づくりに励んだらしい。そして阪神大震災において、一軒もそのメーカーの家は潰れなかったという。要するに家つくりに信念を燃やしていたことが実証できた。そのメーカーを狙ったのがトヨタであったが、その際にこれまでの家作りの信念が、利益優先のために曖昧にされる危惧を抱いた社長は、つい思い余って、奥田に「自動車会社に家のことがわかるか」と啖呵を切ってしまう。それを聞いた奥田は怒り心頭に達し、なんとしてもあの会社を自分のものにしよう、、、と、政治的な野心を燃やしたわけだ。その人間性の低さに私は驚き、権力の試行をそういう動機で行うトヨタには、未来はないと感じた。トヨタは知らぬうちに変わってしまっていたのである。そして危険を察知したとたんに以前の経営陣は逃げ出した。トヨタを散々にしてから豊田家に返したわけだ。そうした裏切りとも思える立場で豊田社長が立ったわけだが、この事態に及んで、苦しみの中で、何が最も大切なのか、、、という本来のトヨタ精神を彼は感じたのだと思う。一緒に一生懸命車作りに励んできた同僚や仲間たち、、、そのことを思うと、涙を禁じえなかった。それでいいと思う。またやり直せばいいのだから。裏切られれば裏切られるほど、何が大切かがわかってくる。アメリカにも裏切られ、前経営陣にも裏切られ、これからは国内でもおそらく売上を減らすだろう。それも劇的に。しかし、だからこそ、何を大切にし、何を中心に事業を営んでいくかがわかってくるはずだ。それができる心のまっすぐさは、さすがによい意味でのお坊ちゃんなので、間違いなく持っている。しかし、この世は残念ながら人気取りのインチキを利用して大衆をコントロールする社会である。民意を得た民主党もマスコミの人気取り路線で窮地に立っている。何がいいとは簡単には言えないが、悪人は人気取り作戦を使って大衆を味方につけ、大衆から奪う。まだ日本人もそのレベルにあるのだろう。私はトヨタの車は昔から嫌いだったので買うことはないと思うが、多くの人は、本当はトヨタの車が安全でないということは、ない、多少はそういうことがあっても、すぐに対応してそういう心配はいらなくなる、、、と、本音ではそう思っているはずだが、実際には売れ行きは恐ろしく落ちるだろう。結局、マスコミに動かされる。人気取りにやられてしまう。そして自分の人生と財布を奪われていくことがわからない。民主主義ほど最後の最後まで人から奪うやり方はない。好きだと思わせて、女から最後の最後まで貢がせる、、、そういう男のやり方が民主主義だということが分かるまでには、まだまだ時間がかかるのだろう。豊田社長、あなたはもう何が大切かを分かったはずだから、もうだまされてはいけない。よい人と付き合い、よい人に車を買ってもらう、、、そういうビジネスに変えていこう。私もそうなったら必ずトヨタの車を率先して買います。