神がかり松井

松井の大活躍でヤンキースの優勝。なんだか調子が悪いような印象が強かった今シーズンの松井だが、最後にしめた。さすがである。私は野球には本当はまったく興味がなく、もっぱら競馬だが、競馬のために買う新聞には必ず野球が一面に出ているので、興味がないながらも大まかな流れは知ってしまう。そうやって何十年も見てきた上での自分なりの野球感があって、独断と偏見に満ちた自分なりの考え方。それで言うと、一番偉いのは、野茂。真の実力者はイチロー。そして松井に関しては、野球の神様に愛されている人、、、という感じ方をしてきた。なぜかはよく自分でもわからないのだが、高校時代からこの人は野球の神様から愛されている、、と勝手に私は感じてきた。ふたご座生まれらしからぬ、あの忍耐力と克己心は何なのかと思う。ふたご座生まれの小沢幹事長も何となくそのタイプか。いずれにしろ、ふたご座にはあまりいないタイプだ。一貫している。何が一貫しているかというと、野球に対する思いが一貫している。私は実力では段違いにもうイチローが上、と言ったことがあるが、爆発力やドラマ性とか物語性は松井が上だろう。神様が用意してくれる舞台で主役を張れる人。ケガや不調があるからこそ、何かやるぞ、、、という気持ちをかきたて、実際にそれを起こす。本当に野球が好きでやっている人だけが持つまじめさで、どんなピンチに立っても、野球の神様に文句を言わない。言いたいが、そこを抑えて口をつぐむ。これなら確かに神様から愛される。松井のこうした人生訓を私たちも学ぶに限る。運を見方につける方法を彼は何度も実践してくれている。松井をよく見ていれば、それがきっとわかると思う。打てないとき、彼も人だから、がっかりする、そのことはテレビを通してもよく伝わる、、、、しかし、彼は決して文句を言わない、、、神様に当たらない、、。ぐっと抑える。凄いものである。あれで運がこなければ神の方が間違っている、、と思わせる。
 とべた褒めだが、それでもおそらくヤンキースから追いだされるのだろう。それもかえって彼の野球人生を輝かしいものへ変化させる効果になると思う。松井に算術は関係ない。野球選手の中には、松井以上の実力の持ち主は実は多かった気がする。しかし野球に対する心構え、しかもそれに忠実な一貫した態度は、必ず、チームに浸透していく。感動するんだね。誰も口にはださないけど。松井がそばにいると、感動するんだと思う。人が生きていること。我慢していること、耐えていること、そして揺れながらも揺れずにまっすぐ立とうとし続けるその態度。松井は一選手にすぎなかったが、監督にも間違いなく大きな影響と感動を与えたはず。彼は本当に野球の神から愛された青年である。私たちも、彼を真似、彼から学び、それぞれの立場でどういう姿勢で、どういう態度で生きていくべきかを知るとよいと思う。
 彼のケガは、おそらく日本とアメリカとの食生活の変化がベースにあるような気がしてならない。もう何年もたつので今はそんなことはないのだろうが、アメリカに行った直後にも結構ケガがあった気がするが、おそらく食べ物の変化では、、、と思った。技術論、精神論はマスターしているが、外部からの影響に関しては、松井は受け身過ぎる気がする。しかしその部分が運命の変転を生みだし、ドラマを生んでいくのだろうが。しかし、人に生まれた以上、生涯に何回かは、神かかりで生きてみたいものだよね。メイクドラマの長嶋をまねても神かかりにはなれない気がするが、松井をまねたら、誰でももしかしたら神かかりになれるかもしれないと思わせてくれる。