なんだか多忙

働いている人がとにかく忙しいのが日本だ。読書もできない、趣味もなし、食事も簡単、仲間や家族とすらコミュニケーションをとる時間がない、、、かと言って豊かでもなし、誰もが何かおかしい、、、と感じている。多忙でも何かをしているという手ごたえもない。動けば動くほどもうかった、、、というビジネスも最近は少なく、もうからないが忙しい、、、というパターン。私が学生だったころは、どんな職業でも、まじめにやりさえすれば、大体は一家を養えた。学生アルバイトでも一日5000円じゃ安いな、、、と思っていた。もう30年以上前の話しだ。物価も安かったが、日給5000円ではつまらない、、、という感覚が私にはあった。それにくらべたら、現在の学生アルバイトは一体どうなっているのか。自給800円とか言っているのだから、30年前と大差ない。物価は今の数分の一だから、今の方がまったく稼げない。科学が発達し、社会は豊かになったのに、なぜ個人にはお金がいかないのか。知らないうちに私たちは奴隷的な状況に置かれてしまった。その分、大企業が利益を蓄える構造になっていたのだが、もうかったはずの大企業は、長期間つづいた低金利の罠に見事にはまり、競争力をつけなくてはやられる、、、との切迫した思いから、大規模投資に乗り出し、インチキ好景気の挫折とともにぽしゃる運命となった。トヨタですら低金利にだまされて大投資を行い、自滅したわけだ。
 さて、とりあえず会計方法の変更に助けられた世界の一流銀行や企業は低金利で得た資金をまたまた投資に振り向けて株価なども上昇したが、これで傷口をさらに大きくし、完全に息の根を止められる展開が迫ってきている。サブプライムから始まった損失はまだそのまま冷蔵庫の中にしまわれたまま。いくら冷蔵庫とはいえ、腐るものもあるし、入りきれなくなるものも出てくる。ふたをしめても一時的。あまりにお大きな負債は隠しきれず、ふたを押しのけ初めてきた。上はもうおしまい、、、ということをすでに理解している。しかしあまりに大きな事態は意外に一般民衆には理解できない。戦争だって本当のところはなぜ起こるか分からないうちに、民衆は戦火に巻き込まれてしまう。今回の金融異変は通貨制度の変更に最終的に至るということを最初から私は言ってきたが、どうやらその方向がだんだんと見えてくる。
 民主党がこれまでの歴史にまで言及するかどうかが、信頼できる党かどうかを見分けるポイントの一つとなるだろう。近代国家の成り立ちと通貨発行権、金利をあやつれる中央銀行が、富を自由に操れた構造まで語れるかどうか。中央銀行一派は私はすでに負けたと思うので、そうした歴史の見直しがきっとあると思う。次期通貨はこれもかなり以前から言っているように、やはり金にリンクしていくことになると思う。もしくは、もとベーカー国務長官が最初に言ったことだが、金銀はもちろんとして、石油や穀物などを含むバスケット制かだ。私たちはこれまでが激動の時代だと思いがちだが、本当の激動はこれからである。視点をどこに置くかによって、それを大変に感じる人と、よくなっていると感じる人とに分かれるだろう。とにかく現通貨であろうと、金とリンクした通貨であろうと、私たちは、どうすればお金と関係ない生き方ができるかどうか、、、を実践することだけだ。あらゆる価値の元には、人生肯定の前向きなエネルギー以外はあり得ない。いずれは日本人の優秀で前向きなエネルギーを平価とする通貨が日本を救う。ということを、馬野周二博士はもう30年以上前に予言していた。誰が何を言おうと、馬野博士が現在の事態を最初から見抜いてきた人である。すべてのものは、金であれそこに至るまでの疑似通貨であることを博士は知っていた。偽通貨の発行権を持った者が天下を取った時代が過ぎようとしている。次にゴールドを握りしめた者が天下を取り、そしてその次に、人間礼賛の知的かつ情を平価とする円を作ることで、私たちはこの世に平和を作る気持ちをもたなくてはならない。それが原爆を二度も落とされ、計画的な空襲で焼き討ちの皆殺しにあい、心底、戦かうことに辟易した日本人が世界にプレゼントできることなのだ。私たちが求める平和の希求は、だから半端なものではない。悲しみを乗り越え、恨みを捨てて到達した私たちの平和への希求は、どこの国にもまだ見られない、日本特有のものなのだ。この力を世界に示すことが私たちの役割でなくてなんだろう。60年前の終戦が今度は世界にやってくる、、、、その混乱を収めるカギを日本は握っていることになる。だから日本が凄いとかそういうことを言っているのではなく、日本の正しい可能性を思っているにすぎない。ゆがみがとれる可能性がでてきた今、きちんと考えられるようになっていけばいい。劣等感が時代を動かした歴史を終えなくてはいけない。