実態経済のゆくえ
急激な株価の下落により実態経済に問題が出ている。この流れはまだしばらくは続く。世界があまりにひどい状態なのだ。それなのに日本の株が一番売られているというのはおかしいと思う人も多いと思うが、ひどい話しで、日本の株以外売れない、、、という現実がある。日本をのぞく海外の株は実態とかけ離れて膨れ上がった張り子の虎。もし大量に売りにだしたらそれこそ10分の1になってしまう。いずれはそうなるにせよ、急激にそうなったら大変。墓穴を掘るので、売れる株しか売れない。実態と乖離の少ない日本の株が売られ、それによってお金に困っている海外勢はファイナンスをしているので一番売られるのである。だから一番回復が早いのも日本の株になる。私は今週の下げをもってひとまず、来週は反転に移ると思っている。もちろん買いなどすすめないが、きっとそうなる。そしてしばらくは安定したように見せることになっていくのではないか。もしかしたら11月に海外ではさらに一段の大幅な下げがあるかもしれないが、その場合でも日本の株はもうそんなには売られないかもしれない。ただし、それもかなり楽観的観測ではあるが。含み資産の急減した銀行、生保に何か激震の走る可能性があるので、そこは注意しておいたほうがいい。まあ、それにしても欲の皮の突っ張った連中がよくもやってくれた。けっきょく、人間性が低い冷たく計算高い人間はこうした迷惑をかけることになる。力もないのに、計算高く威張っているだけの人間がこしらえた金融工学によって、よくの最高峰のものによって人類の金融と経済は壊されることになった。気になるのは、アメリカが軍隊を撤収させている。どんどんアメリカに戻りだしている。金が使えないこともあるが、新しい戦争に向けた動きか、もしくはアメリカ国内で予想される暴動への備えとも受け取れる。アメリカはいずれこうなることが実はわかっていたというふしがある。バーナンキを添え、恐慌シフトに入ったこと、軍隊による統治システムの構築、警察国家への道、、、アメリカは社会主義的な拘束国家への道に急激に方向を変えるような気がしてならない。これまで住宅価格の上昇に支えられて大量消費文化を謳歌してきたアメリカ人のプライドが今回の恐慌に耐えられるとは思えない。当のアメリカ政府が何よりもそのことをわかっているのだと思う。しかしこうした社会や世界の激変に伴う大きな変化が人の一生に一度は起こる、、、というのが私のこれまでの持論であった。私の父は第二次大戦を祖父は関東大震災を、さらにその祖祖父は江戸末期と明治の混乱を生き抜いた、、、というように。しかしこの60年、阪神大震災などをのぞいてそうしたことはあまりなかった。地域的な不幸があったことは忘れてはもちろんいけないが。だからわれわれの時代にもきっとそれはやってくる。なぜなら60年の比較的安定期は長かったものの、社会矛盾はかつてないほど大きくなっているのだから、それがないと考えることにかえって無理がある。決して波乱を求めるものではないが、頼りない楽観は危険である。来るべきものを迎え、自分がそうした時代にどう生きたらいいのかを真剣に考えていくべきなのだ。どうせ機構も国も組織も私たちを助けてはくれなくなる。かえって私たちを利用して犠牲になってもらうことで自分らが生き延びようとしてくるだろうから、一見大きく見えるもの、力あるように見えるもの、権威的な匂いのするものなどには、近づかない方がいい時代に入った。個人で生き延びることを考え、仲間とたすけあってそれを実践していくことで、新たな生き方、新たな価値、新たな喜びが出てくる。結局、未来の富を先どりして繁栄を謳歌するときには怜悧な冷たいずるい人間が勝つが、いよいよとなると彼らには何の力もない。奪う力があっただけである。日本だけは何とか無事にこの時代を生き残れる気がするのは、日本だけが実力とかい離せずに実態に沿った生活をしてきたからである。日本人にノーベル賞がたて続いたことも決して偶然ではない。そうしたサインが出ていると受け止めるべきだろう。しかし政治はあまりにひどすぎるが。アメリカとつながって自分の権威を保とうとしていた一派が一掃されるまで混乱は続くだろうが、その次には新しい魅力的な日本が生まれてくる可能性が高い。自公民という考えもあるらしいが、ばかげたことである。そこまでしてアメリカとつるんでいこうというのはあまりに見えてない。というか、それ以外にもう道がないという成功体験の亡霊がなせる業なのだろうが、そんなことはない。明治以来、ずるがしこい人間の遺伝子が日本を支配してきた。そうした遺伝子にここいらでご退場願い、従来の日本人の持つ善意、優しさ、工夫、などによってもう一度この国を再生していくチャンスとして私はこの大恐慌をとらえている。