ザゴールデンカップス

この名前をご存知の方はある程度の年齢の方だと思う。かつての人気グループサウンズのひとつ。確かにゴールデンカップスは人気はあったが、当時はそれよりもタイガースとか、ビレッジシンガースとか、ブルーコメッツなどの方が人気は高かったと思う。しかしなぜか今になって思うと、一番懐かしく思い出せれるのがゴールデンカップスだ。人によって見方、感じ方は違うと思うが、そんなにヒットを飛ばした方でもないのに、亜麻色の髪の乙女、、、は大ヒットだったが。この懐かしさは何か、、、と思ったら、その答えがきょう分かった。車での移動中にラジオを聞いていたら、かつてのゴールデンカップスのメンバーで今はゴダイゴのメンバーの一人が昔の話を聞かせてくれた。とにかくハチャメチャだったのだ。管理されていないスターの存在が許された最後の砦がザゴールデンカップスだったのだ。確かに、ドタキャンや失踪など、当時も話題を誘ったことを思い出したが、きょう聞いてみて、それが本当だったと知った。いろいろな事件があったらしい。まず、気にいらない仕事だとみんなで示し合わせてボイコットする、、今だったらそんなことはありえないだろう。また、歌いに行った先がお座敷の宴会場で、客が浴衣で聞いているのを見て一曲だけで中止して、マネージャーを全員で追いかけ、隠れた部屋の外からドアめがけてそばにあったアイスピックをみんなで投げつけたとか、、朝早い仕事はみんながきっと来ないと思ったマネージャーが早朝迎えに行くと、なぜ眠いのに起こす、、、と逆切れしたメンバーの一人が包丁を持ってマネージャーを追いかける、、、それを見たほかのメンバーはやばい、、、と思って車のロックを降ろす、、、失踪したドラマーの代わりに急遽ごまかして何とか歌って終えたら、失踪したメンバーが客席にいて、うまいじゃん、、、と言ったなど、、、まあ、今では考えられなのだ。最後の解散の話も面白かった。なぜザゴールデンカップスが解散したのかというと、どこかで歌っているときに火事が起き、舞台の後ろから火の手が上がったらしい。一人だけギターを持って逃げられたが、他のメンバーは楽器を置いてきてそれを燃やしてしまった。その夜、まあ、飲みながら、また楽器を買ったり、色々と面倒で嫌気がさして解散した、、、というのだ。マネージャーはこのどうしようもない乱暴な連中の前で気をつかっていたのだろう。反対もできず解散決定。告白したメンバーにテリー伊藤があなたにとって、ゴールデンカップスとは何だったのですか、、、との問いに答えがふるっている。ハイスクールだったね、、、あれは。聞いていて本当に面白かった。テリー伊藤も感激していて、芸人らしく今はない古きよき時代のおおらかではちゃめちゃで乱暴で自分勝手に生きていく青年の力、悲哀、、そうしたものに対する不思議な感動があったのだろう。私はゴールデンカップスがそこまでハチャメチャだったとは知らなかった。しかしまだ歌手が自由でマネージャーやレコード会社から自由だったことがかろうじて許されていた、そこから出てくるおもしろさ、魅力、生命力、、を知って、やはりこれだったのだな、このグループに不思議な魅力を感じたのは、、、、。女性人気はどのグループも凄かったが、一番熱狂する女性ファンが多かったのがゴールデンカップスだった。タイガースや他の人気グループでは絶叫は当然だったが、失神者続出するのがゴールデンカップスだった理由が分かった気がした。そして思ったのは、管理されすぎたものが生み出す価値には限界があるということだ。麻薬をやめますか、人間をやめますか、、、と問われて人間をやめてしまったエディットピアフもそうだが、その人間のリアリティを感知するセンサーのようなものが人間にはあり、なぜか分からないが心をつかんで離さない魅力を私たちに感じさせる。そういう芸人が少なくなった。