完成

畑作りの難関はうね作り。しかしあんなに疲れたうね作りのコツをきょうは意識的に実践したため、あまり疲れなかった。極意は都会の呼吸でやらないこと。合理的でせっかちな気持ちで畑仕事をすると、私よりも数倍の力がある青年でもまずぶっ倒れます。一定した、リズム、呼吸で、なにごともなく続け射ていくと、疲れません。一球一魂のつもりで、クワを振り下ろし、自分のリズムを守ること。都会の人はとにかく効率を考えることが身にしみているので、それがなかなかできない。私も数年は効率を無意識に考えたリズムだったので、とにかく畑仕事は疲れた。しかし今日はこれだけ広い畑をたったひとりで耕作してうね作り、大根の種の植え付け、種の植え付けも実はかなり疲れる仕事ですが、一応終えました。この呼吸については、日本の剣道の第一人者、和田金治先生から教わった。和田先生は実力日本一、十段と同等の腕前であることが伝わる現代の宮本武蔵のような大先生だが、縁あって私のうちにいらしてくださったことがある。そして90歳の翁は、ひと言、ここは仙境だ。武蔵の最後に地に似ている、、、と、独り言を言いながら、えらく気に入ってくれた。以前に、たしかブログで書いたと思うが、話すときに人の目をじっと見つめるおじいさんで、初対面の私はにらめっこを2時間もやらされてひどく疲れた記憶がある。相手は分厚い老眼鏡をかけているから、目がそれでなくても大きく見える。大きなハンデで本当に疲れた。剣道などやったことがないけど、まさに真剣勝負を二時間もやった気分だった。そんな和田先生がお話したのは、農業をやり始めたときの大変さについてだった。自分は人よりも体力も気力もあると思っていたが、しかし農作業をやると、これはどうにもこうにもたまらない、疲れてたまらず、どうすることもできない、、、と最初は苦労されたという話だった。しかし段々とわかってきたのだ、、、と、翁は大きな目で話す。一クワ、一クワ、えいっ、と突然大声を上げる。私まで、ああっと言いそうになる。なんでもクワを入れるたびにえいっと、気合を入れてすべてをそこに集中しなければダメだとかの内容なのだが、先生は獅子座のせいか、パフォーマンスに力が入り、クワを振り上げて打ち下ろす動作を私の目の前、数センチのところでやってくださる。なんだかスパッときられているような感覚で、まいってしまったことがある。しかし何であれ、私は農作業の極意を伺ったわけだ。とはいえ、何年たってもそれが実践できないでいたが、体力の衰えと共に、先生の極意を試そうとの思いがつのり、本日の畑と相成りました。どうでしょう。武蔵の極意が息づいている、良い畑になったと思いませんか。どんな大根ができるか楽しみです。