行く川の流れは、、、
私は昔から長い文章を丸暗記することが好きだった。最近はあまり時間がなくて、車の移動中は主に披講の練習に置き換わっているが、昔は移動中は文章の丸暗記に当てていた。誰でも、どんな長い文章でも、50回音読すると丸暗記できる。これにはまず例外がないが、英語の文章も同じだろうかと思ってやってみたが、こちらは100回やっても覚えられなかった。個人差があるのだと思う。しかし色々の文章を丸暗記したものだ。源氏物語の桐壺、平家物語のやはり最初の1時間分ぐらい、秀真伝の最初の30分ぐらい、杜甫やポールヴェルレーヌの詩、一二三神示のアレの巻やそのほかの部分、、、相場難儀道という、おく深い相場の真髄を語った本、、あげればきりがないが、いまではもうほとんど忘れてしまった。題名の一節、方丈記もそうである。なんでこんなことを思い出したのかと言うと、3丁目の夕日を見てから偶然にも過去がよみがえることが多くなっている。何十年ぶりかの出会いがあったり、昔のものが発見されたりで、行く川の流れが太洋を一周してまた川に戻ってきたような、不思議な一週間だった。縁会った人々に幸あれと願わずにいられない。文章の丸暗記も大昔にはじめたことだ。私はこうしたシンプルな勉強方が一番自分にあっている。頭脳があまり複雑でないので、ただ書き写すとか、ただ言葉に出す、、というものが一番生に合う。読み書きそろばんというが、まさにそれだ。そろばんは残念だが出来ないが、読み書きはいいと思う。平家物語などなぜあんなに長い文を覚えられたのか、現代人は不思議に思うだろうが、本当は誰でも出来る。50回音読すればいいのだ。平家物語を全部音読するとどのくらいの時間になるかわからないが、仮に50時間かかるとしよう。50時間の50倍は2500時間である。約100日。一日8時間の朗読時間を当てると、3倍の300日で丸暗記できることになる。定年退職の団塊の世代などは十分にやれる。多めにゆったり見て、1年修行すれば、あの大作、平家物語をすべて丸暗記して語れるのである。凄いことではないだろうか。おそらく、全部丸暗記できる人は日本にもそう多くはないだろうから、仕事としても成立する可能性がある。しかも声を出すので、健康法としても最高。文章力がつくのは当然。良いこと尽くめである。こうした時間のとりかたを、現代は奪っている。だからこそ価値があると思うのだが。わたしならロミオをジュリエットを覚えようかな、、、本当は英語のほうが美しいだろうけど。んらば源氏物語だって2年もかからないで覚えられるはずだ。全部丸暗記していたら、下手な研究家よりも大きな顔ができるのではないだろうか。これも人間の脳の限界に挑戦する面白さがある。というより、とにかく音読は楽しいものである。