久々の映画
スピルバーグのミュンヘンを見てきた。見終わったあと、客の表情がみんなおんなじで面白かった。何かむっつりした、口数の少ない、不満そうな表情に見える。私個人はそれなりに面白かった。オリンピック村から11人のイスラエル人が連れ出され、全員殺された事件を追いかけたもの。主人公は愛国心からゲリラのメンバーへの復讐の任務に乗る。しかし復讐の過程で大切なのは国家や復讐などより、家族や家庭の日常性に気づいていく。自分のやっていることと、守りたいと思う家族や生活との葛藤に悩んだ主人公は、ついに国を捨てる。スピルバーグは結構大胆な設定の映画を作ったと思う。血で血を洗うむなしさはもちろん、国家までを否定するメッセージが込められているのは結構凄い。未来社会を考えたとき、確かに国家は今、重荷になりつつあるのだと思う。21世紀は国家幻想が崩壊していく過程にあるのだろう。スピルバーグという立場の人がそういうメッセージを出すということ自体、世界の枠組みの方向性が今、ゆれていることがわかる。ブッシュが進めているのも、アラブとの戦争に見えて、実は違うのかもしれない。あまり買いかぶりはできないが可能性としてはある。小泉の進めている改革はよくわからないが、観光立国のビジョンがあるということは、新しい時代観ではあるのだ。結論からいうと、どの国も文化立国していけば実はみんなが豊かになれる、というのが私の持論だ。そして、最高の決定機関、それは具体的なものとは違うと思うが、神の手としての最高機関の考えのひとつの方向に、文化を経済の機軸にすえようとする動きがあると思う。スピルバーグのあのメッセージが許されるということは、きっとそうなのだろう。文化的な発展が機軸におかれない場合はどうなるのか、強力な統制国家以外にない。共産国で十分にそのノウハウは貯められているので、実行は簡単なはず。しかしそうなると今の人口では多すぎるし、地球はかなり危ない方向にすすんでいくだろう。冬季オリンピックの盛り上がりも日本人の活躍が今のところなくて、盛り上がりに欠けてるが、きょうは国家というものについて考えさせられたよ。というわけで、映画館から出てきた人の顔がいまひとつ、うかない、、、というイメージが伝わりましたでしょうか。しかし人様におごっていただいて映画を見たのは試写会以外では初めてではなかろうか。石崎さん、阿部さん、ありがとうございました。サンドイッチもおいしかったです。その後は表参道ヒルズを散策。すごい人でした。疲れたので緑の写真で心を癒します。