システムは誰のためにある?
私が小学生の頃、道端に10円玉が落ちていたのを発見。すぐに交番に届けると、若いおまわりさんが私の頭をなでてくれた。そして「どこで拾ったの?」などとやさしく聞いた後で、おもむろに自分の財布を取り出し、財布の中から10円を探して私にくれました。
私が拾った10円玉は落とし物としてきちんと処理し、自分の財布からは、正直に届けた私へのご褒美として、自腹を切ってくれたことになります。おまわりさんは私が拾った10円玉を取得物として扱い、私にはご褒美として自分の財布の中から10円を与えるという、素晴らしい教育をしたわけです。心のこもった完璧な対応だったと思います。
その頃のおまわりさんへの、私たちの信頼は本当に強かった気がします。町を守ってくれているおまわりさん、私たち子供を守ってくれるおまわりさん、、、家も学校も守ってくれる頼もしい存在が、町のおまわりさんでした。
学校の帰りに何人かで交番に立ち寄り、交番でよく遊んだこともありました。
あれから六十年以上もたったのですが、おまわりさんはずいぶんと変わった気がしてなりません。私たちを守ってくれる存在というより、何か監視されているような、普通の国民に疑いの目を向けているような、そんな印象をつい持ってしまいます。
今のおまわりさんって、一体何を守ろうとしているのでしょう。何だか昔とは違っていることだけは確かなのです。
もちろん、今でもおまわりさんの中には、正義感に燃え、町や人々を守ろうとしてくれる人がいることも確かでしょう。でも、そういう頼もしいおまわりさんは、ちゃんと出世できているのか、他人事ながらも気になってしょうがありません。もしかしたら、そういうおまわりさんは出世からはじかれたりしているのではないか、、、そんな不安さえよぎってしまいます。
いつしか、おまわりさんが守ろうとしているものが、国民から違ったものに変化しているような、あくまで感覚の問題ではありますが、そんな気がしてなりません。でもそれって結構恐いことです。昔のおまわりさん、私たちの味方だったおまわりさんに戻ってもらいたい、、、、そう思うのはわたしだけでしょうか。
何も、おまわりさんだけではありません。郵便局に行っても銀行に行っても、昔は沢山の1円玉や5円玉を持っていくと、喜んでもらえたものです。毎月、小銭でもきちんと貯金してくれる人が一番良いお客様なんです、などとお世辞を言ってくれたものです。今では、めんどくさそうに対応されてしまう気がして、小銭を銀行に持っていく気が起きません。誤解かもしれませんが。
銀行や郵便局にとって一番良いお客様は、すでにたくさんのお金を持っていて、それを預けてくれたり、大きなお金を借りてくれる人になっていると思います。それはそれで当然でしょうが、銀行員全員にそうした意識、金融マン全員にそうした利益優先の当たり前意識がいきわたってしまい、小銭を持ってくる客の存在はうっとおしいものになってしまっているのではないでしょうか。
そうした体質がいきわたった冷たさで、銀行などは統一され、それに傷つくお年寄りや小中学生がきっといるようにも感じます。
一体、金融は誰のために存在しているのでしょうか。昔は、今は貯金がほとんどない人でも、その人が成長していく中で、きっと良いお客様になってくださる、、、というお客様の将来を見た対応だったと思いますが、今は結果主義であり、今いくらあるか、、、それにしか関心がないのかもしれません。
では、企業や会社はどうでしょう。昔は従業員も会社も一緒に発展しよう、、、という思いと気概がありましたので、従業員は基本的に大切にされた気がします。アルバイトで充分に豊かな生活ができる額を私自身稼いできた青春時代でした。実は正社員よりもアルバイト給与の方が多い会社もあったくらいなのです。夜の飲み会にもアルバイトは必ず誘われ、何ら引け目を感じることもありませんでした。
飲み会の主役は、どちらかというとアルバイトや下位の社員だったからです。下位の者に、上の人がサービスしてくれる、、、それが会社の飲み会だった、、、そんな印象が強く残っています。
アルバイトは会社の都合で首になることもあるので、その分、時給や日給は良くしてくれた、、、、、そうした会社が多かったのです。私がよくやったのは運送業でした。一個荷物を運ぶと100円もらえました。今から40年以上も前の話しです。一個100円ですから、大きな会社などにお歳暮の頃に行くと、50個程の商品券の荷物を一回で収めることができるときもありました。すると一件だけで5000円にもなるので、とんでもなく儲かったのです。石油を掘り当てたような気分がしたものです。
その話しを現在の宅配便の方に話すと、信じられない、、、と絶句していました。今よりもずっといいよと。今ではそういう計算法ではないようです。
会社が収益を最大限に上げるようになっているからです。どんなケースも考えられていて、絶対に会社が損しないシステムになっているわけです。
私が学生時代にアルバイトした運送会社は今もある有名な宅配便会社ですが、とても人情味があったわけで、よく飲み会や食事会があり、そこでの主役はアルバイトでした。今の会社関係の宴会では、一番偉い人の話しを、しかも大体はつまらない話しをみんなが聞く、、、面白くもないのに相槌をうったり気味悪く笑ったりしながら、、、、
すべての組織が上に行くほど放漫になり、上に行くほど厚く守られる、、、いつしかそんなシステムが日本中に行きわたってしまいました。
昨今問題となっている外食会社での露出投稿事件がありますが、あれなんかも、現場でのアルバイトさんのストレスがきっと最大になっている結果だと思います。
すべてのシステムが、昔と反対になってしまったのです。一番下のアルバイトが大事にされていた私たちの青年時代、、、、それが、一番下のアルバイトが一番負担を負う、、、そうした構造になっている今の時代。
露出投稿したアルバイトの人には、一生涯働いても支払えないような損害金が請求されているとか、、、なんだかおかしな気持ちになります。アルバイトに必要以上の負担を掛けさせ、その上で大した能力もないくせに生意気ばかり言う、冷たい人間に成り下がってしまった管理職連中。現場も見ずに文句ばかり言っているのでしょう。そのくせ損害請求などと、そういうことだけはすぐに考え出すどうにもならない体質、、、会社って、一体誰のためのシステムになのでしょう。
株主のため? 株主の目だけを見て会社運営できると思うのが間違いで、会社は常に未来を見て新たな魅力あるものを創造していかない限り、絶対にいつかはダメになります。新たな価値を作っていくのは下の人です。下を大事にしない会社やシステムに私は未来を感じません。
人が未来のある赤ちゃんや子供を大事にするのは、そのことがわかっているからで、わかっていない人が増えるにつれ、虐待問題が出てきてもいるわけです。
本当におかなし逆転した時代になっています。
あらゆるシステムが、上の人のためであり、さらに上の人のためであり、極めて少ない、極めて上の少数者のために、多くの下の人が、下に行けば行くほどひどい扱いを受けているのです。下は石垣です。石垣なき城の運命がこれからどうなるのか、なぜわからないのでしょうか。
日本でも世界でもそうだと思いますが、上への奉納システムが限界に達するにつれ、上に行くほど、上の人の人間的劣化が実は起こり出しているのだと思います。
上だけが大事に扱われ、守られ、下に行くほどひどい扱いを受ける今のシステムには永遠性がありません。政治もまさにそうです。しまいには政治家は嘘すら堂々とつけられるようになっています。誰も責任を取らなくてもいいのです。
末期現象そのものであり、国会は無法地帯となっています。これは必ず崩れます。
もし下が、上に頼らなくても生きていける方法を編み出しただけで、世界はすぐにもひっくり返ってしまうでしょう。
なので私たちが今やるべきことは、上やシステムに頼らずとも生活していく方法をあの手この手で考え、編み出し、実行していくことなのです。
下はいくらでもいると上は考えています。下が壊れたら、替えればいい、、、と考えています。下が病気になろうが死のうが、どうでもいいのです。取り換えさえできれば。下が賃上げを要求したら海外から入れればいいと考えているのでしょう。
しかし、上が考えたシステムには生命としての魅力がありません。命の観点にたった整合性もありません。もう壊れるのは確実です。そんなに先のことではないでしょう。
下の人はあきらめることなく失望することなく、下は下で生きる方法を考えて、実行することです。今は何もなかった昔ではないのです。スマホもあればパソコンもあれば、情報をすぐに得ることができる、、、、工場でしか作れなかったものも、自分たちの手ですぐに作れる、、、方法と道具は下に与えられている時代なのっです。これを使わない手はありません。あとはやる気だけです。
今のシステムに頼らない生き方を考え、実行することです。私は実際に学校を出てから就職もせず、上からの恩恵も受けずに、それをずっとやってきたのでよくわかるのです。やれば誰だってできるのです。
色々な人がいるように、色々な生き方があるはずで、色々な生活を可能にする方法があるはずなのです。ひとりでは厳しいかもしれませんので、仲間を集め、みんなで独立していく生き方もあることでしょう。
さあ、これからがスタートです。テレビやマスコミに出てくる夢ではなく、本当の夢を持っていきましょう。人類何百万年の歴史の中で、生きることが大変なわけがないのです。大変ならとっくに人類は滅んでいます。
私たちの意識だけです。生きることが大変だと教えられてしまっていたのです。上の都合で私たちの意識が操作されていたのです。生きることは本当は簡単です。あなたもみんなも自信を持って未来を見てください。
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