忠盛が咎にはあらず

昔昔、武家がまださげすまれていたとき、忠盛は上皇のために三十三間堂を建て、一千一体の仏様を安置した。

上皇は喜ばれて武家として初めて参内を許し、忠盛は念願かなって殿上人になりました。

これを歴代の貴族は恨み、何かと難癖をつける。忠盛の命を狙う、、、という脅迫まで来る始末。

忠盛は仕方なく木に銀紙のようなものをまきつけて刀に見せ、護身用に思わせて襲撃を阻止しようとした。しかし参内時に刀を忍ばせた罪は大きいと告げ口される。

死罪じゃ、死罪じゃ、腹切れ、、、と言われたかどうかはわかりませんが、大体そんな非難だったと思う。

事が大きくなったので、当然上皇のお耳にも届き、一体どうしたのだ、、、のお尋ね。殿上人はここぞとばかり、あの武家上がりの忠盛が、あろうことか刀を忍ばせて参内したんですよ、、、もちろん腹切りですよね、、、死罪ですよね、、、と上皇に迫る。

上皇は忠盛を呼び出し、説明させると、脅迫があり、それを阻止せんがために刀と思わせました。しかし本物の刀を忍ばせることはできませんので、木に銀紙をまいてきました。

すると静かに聞き入っていた上皇は、にこやかとなり、忠盛の武家としての細心の注意、そして恥ずべき死に方を避けようとする武人の思いに心打たれ、、、人はかくあらねばならぬと逆に殿上人たちをいさめる始末。

そして最後の一言「忠盛が咎にはあらず」で決着。

そして時代は流れ、平成の御世,,、「太郎が咎にはあらず」との大御心が伝えられたようでした。