日銀異次元緩和のゆくえ

日銀がインフレ率2パーセントアップを目指して異次元緩和に入った。お金を現在ある額の二倍に増やすらしい。

2パーセントアップさせるためになぜお金を二倍にしなければいけないのか、素人の私にはとうていわからないが、普通に考えればそれだと物価は二倍になるのではないかと思ってしまう。

要するに異次元緩和とは、かつてやったことのない一か八かのギャンブル的な政策ということである。その結果がどうなるか、誰にもわからない、、、ということだ。

母船から小さな船を荒海に解き放ったようなもので、母船はもうすぐ沈むから、小さな船を放ち、あとは運を天に任せるというような感じだろう。

たくさんの批判が日銀とアベノミクス政策に注がれている。私も大体は政府のやることには反対する方だが、ただ今回のことはよく見ていようと思っている。

どうなるかわからないが、どうせこのままではダメだったのだから、、、という点は理解できる。かなり思い切ったことをやるしかない、、というのも理解できる。

こうした政策を行えたのは、日本だからであり、一部に可能性があると思う。あまり甘くは考えられないが、とにかくこれまでの円高はひどすぎた。

1ドル50円が適正だというような考えもあるが、円の力がそんなに強いわけではないと思う。実際に企業努力を続けながらも、70円台とか80円代の円高ではどんなに努力してもどうにもならないところまで来ていたと思う。

私は以前から100円を切るような円高は異常であり、それは世界による日本責めであり、その結果、世界の国々はまれに見る好況を謳歌してきたと思う。

日本の株式が二万五千円だったころ、確かニューヨークは2500ドルだったような、そんな時期があったと思う。

その後、アメリカも欧州も異様なほどの株高となり、日本だけが不況とデフレに苦しめられた。そしてアメリカや欧州ではリーマンショックによって実質金融は崩壊した。現在はああだこうだいいながらも、それを隠しているような最終段階に来たに過ぎない。

かろうじて苦しみつつも残された日本。梯子をはずされていない日本だけがなぜか残った絵。

日本憎しの感情は世界の人の中にあるのかもしれないけど、その小憎らしい日本だけが実体以下に落とし込まれていた。

他はどこももうバブル化する力がない。仕方ないので、過小評価してきた日本の景気を持ち上げ、バブル化まで急速に持ち上げて金ずるにするしか、世界が生き残る道がない、、、

私は世界がそう考えたと思っている。だから国際的にも今回の円安は認められたわけだ。

日本を潰す政策はすでに遅きに逸し、今は日本を持ち上げるしか道がない、、、というところに来てしまったのではないでしょうか。本音では。

日本の株が2万5千円の時、ニューヨークは2500ドル。その後、ニューヨークは14000ドルへと5倍以上進展。反対に日本の株価は7000円台まで落ち込んだのだ。ニューヨークは5倍。日本は4万円から7000円までだ行ったのだから、少なくみて5分の1。

日本の株価が5倍まで延びたら15万円になっていたとしてもよいわけで、その後、ニューヨークが5分の1になるとすると、2500ドルだから、日本とアメリカの乖離の可能性は25倍まであることになる。

逆転乖離が起きたとしても何もおかしくないのだ。世界は今、日本でどうにか息をつきたいと思っているわけで、伸びる分のほとんどを結局は海外が吸収していくのでしょうが、多少は日本もよくなる可能性はある。

私がなぜ今回の株高をあまり悪く言わないかは、こうした大きな仕組みが変化し、日本をよくしない限り、世界の金融が終えてしまうように構造が変わったと思っているからだ。

いくら日本の資産価値がアップしたとしても、結局は世界の金融は崩壊していくことになるのかもしれませんが、少なくとも時間稼ぎはできる。

あと、もうひとつ、住宅ローンの重荷を軽くしてあげたい、、、そうした政策が重要だと思っている。今回の株高は最終的には資産インフレに行くだろうから、住宅ローンを背負って未来を築けない人への朗報になる可能性がある。

私自身は不動産価格をこの25年にわたっておかしいと思ってきたので、都心に家も持たなかったが、住宅ローン負担の救いは必要だと思う。そこから日本人が多少なりとも楽になれば、未来を考えるエネルギーも沸いてくるだろう。

というわけで、非情に甘い考えだとは思うものの、円安はまだまだ進むし、株高も進んでいいと個人的には思っている。ただし、私自身、株は買わないし、人に進めたいというのとは違います。もっと他の未来への投資が重要だと思う。株高、円安はあくまで時間稼ぎでしかない。

円安を悪く言う人や、すぐにまた円高になる、、、という人が多いが、これまでの円高自体がおかしいと私は思っているわけで、今後円安はやらせでも何でもなく、自然と進むと思っている。

しかし、異次元緩和の結果をやがて問われる時点が確かにやってくる。そこが一番の問題となるでしょう。

具体的に言うと、100円を超える円安は当然としても、150円、場合によっては180円程度までなら、日本は問題なくクリアし、インフレもそれなりに良いインフレとすることができると思う。

ただ、200円を超え、250円とかそれ以上進めばもうバブルであり、手につけられないインフレで国民資産はチャラにされてしまう危険が出てくる。

日銀はもう小舟を海に離したのだから、どんなことをしても戻すことはできない。その前に、良いインフレで止めておく方法はあるのか。

私はあると思う。発想である。アイデアである。生きがいである。仲間である。喜びである。

大企業はこうしたものにそっぽを向けてきた。上記の価値観に沿った新たなサービス、新たな物品、新たな生活、新たな街づくり、新たな人生、、などが行われるかどうか。

これからもコンビニが立ち並び、どの町も同じ光景。すべては大手の企業が握っている、、、そんな状態であれば、日本は日銀政策と共に終わってしまうでしょう。

日銀が異次元緩和を行ったという図らずも真の意味は、大企業から民衆の作り出す新たな価値への転換を図ったことにある。もちろん、黒田総裁や阿部総理がそう考えていることなどありえないと思うが、結果として、実はそれを行ったのだ。

もう大企業が地球を救うことはない。壊すことはあります。

日銀の政策は、日本のみなさん、がんばってください。うまくやってくだされば、あなた方の時代になります。またそうでなければ、もう日本も世界も終わりますよ。

という政策になっていくと、私は思っているわけです。

こうした背景には、軍事の変化があると思う。今、軍隊を必要としないで一国を破壊することも、ピンポイントでたった一人を攻撃することも可能な段階に軍事が変化した。

アメリカはそうした兵器を持っていると思うが、皮肉なことに軍事の時代、集中権力の時代は終えようとしている。ただ、権力を握っている部分はまだ迷っている。

力を手放したくはないが、時代の変化も理解している。

その際に、新たな価値観で動く新たな地球を見ることができるかどうかが、最後のカギになる。そうした意味でも、日銀の異次元緩和がもたらした未来への可能性はこれまでなかったような大きな出来事だ。

大企業には決してできない、新たな生き方を民意で作りだし、軍事に代わる喜びの時代を築くことができるかどうか、今、一般人に問われている。