理想の嘘、現実の美しさ

理想は本当に美しいか。現実は本当に夢のないものなのか。むしろ本当は反対なのではないか。現実とは今、息をしていること。過去にも未来にも今の息遣いはない。

 今、息することだけが生きていることの証しだとすれば、今、息して生きていることがどんなにリアルであり、大切なものかがわかる。

 私は飼っていた犬が死んだ直後に家に戻ったことがある。危篤状態が続いていた犬の安否に不安を感じ、家に戻るとすぐに犬のそばに行くと死んでいた。すぐ今まで生きていたような感じがあった。あとで聞くと、私が帰る直前に一声鳴いたと聞き、そのときが最後だったと思った。死んだ犬を抱いて安置する場所に運んだ際に、青白い光が周囲に飛びかったが、それは魂が飛び交っていく光景に思えた。

たった前まで息をしていた犬が、今は息がない。息をするのは生きていること。当たり前だがそうなのだ。

 生き物が呼吸をするのは当たり前の話しだが、呼吸することがどんなに凄いことか、私たちは忘れがちだ。
 先のことなど、そんなに重要ではない。今、呼吸をしている自分が重要なのだ。 息することを忘れた生き方は、死んだ生き方。

 人は誰でも先のことはあまり悪くは考えたくない。なので、どうしても夢や希望が優先する。中には不安が優先する人もいるが、夢か不安か、両極端なになりやすい。そして面白いように、夢も不安も未来の自分を正しく表すことはなく、どちらも幻想に過ぎない。

 それに比べて呼吸している今の自分は間違いなく本当の自分である。自分が今、生きていることであり、自分との対面がそこにある。リアルの自分を感じることができるのは、今、呼吸している自分なのだ。

 その自分を大事にすることも、評価することもせずに、未来を不安がり、未来の夢に賭ける。そこに現代の悲劇の根本があると思う。そしてそれがうまく利用され、現代の文明やスタンダードな生き方が作られている。

 呼吸をしている自分を肯定さえできれば、私たちには宗教も哲学も必要とはならない。呼吸する自分と未来・理想・思惑などと対立させ、大切なのは、呼吸する自分ではなく、未来・理想・思惑などにあると思わせられてきた。

 そのため、何を信じているか、、、夢は何か、、、、というようなことは問題にされても、今、あなたは今の自分をどのように大切にして生きているか、、、、という設定はどこでもなされない。今、自分を自分と切り離さずに生きていこうとする人は、会社では使えない。宗教ではだませない。思想では手に負えない、、、、なので、人をリアルから切り離す、、、、そのためのノウハウを行使した人が、現代を作った。善悪の観念は非常に使いやすかった。どちらが悪い、、、という形にもっていけば、悪い者たちを殺そうが焼こうがどうにでもできる。戦争だって自由自在に起こせる。戦争すれば一番儲かるのだから、権力の集中、金力の集中には、一般の大勢の人々を、呼吸するあなたではなく、未来のあなたがいかに大事か、、、という幻想を抱かせるのが一番である。

 愛、理想、夢、正義、そして神、、、、これを悪魔が使った。それは私たちが今、呼吸している自分を見放したことがすべての原因である。

 どこかの頭の軽い大臣が、「ユーロは自分的に見て、もうすぐ終わるだろう。その際には、日本にも金融の大津波が襲ってくる」という御宣託。国の偉い大臣様がそういうのだから、そうなのだろう。ユーロが崩れれば、ドルも当然崩れる。円も同様。果たして、通貨の終焉する姿が近々に訪れるのだろうか。頭の軽い大臣さえそう言ったにもかかわらず、マスコミも一般人も、そんなことがあるわけがない、、、という意識である。

 イランの情勢もお互いにわざわざ緊張を高めていくようなプログラムどおりに動いているような印象があり、金融崩壊と戦火がセットで動き出していることは確かである。実際にそうした古すぎるやり方が、本当に通用するとは私は思わないが、それをたくらんでいる流れがあることだけは確かだろう。理想をえさに戦争を起こすより、どんな理想よりも、現実に生身の人間が血を流すほうがよくない、、、との感じ方が、早く拮抗していかねばならない。

 誰が悪い、、、どの国が悪い、、、そういいながら、戦争する国に加担していく日本。いつものことだが、先の大戦で本当にいやな思いをした一般日本人は、心底戦争を嫌がっている。日本人に限らず、世界中でそうした気持ちが高まっている。誰が悪い、、、どの国が悪い、、、といいつつ、本当はそんなことを言いながら、ただ戦争がしたいだけじゃないか、、、との自然な気持ちが一般人に芽生え始めている。

 理想の嘘よりも、今、呼吸して生きている人間が、たとえ、どの国の人でも美しい。右の人でも左の人でも、日本人でもアメリカ人でもアフリカの人でも、呼吸して生きているあなたがすばらしい。誰かを殺して達成去れる夢など、人類にはない。

 来月、再び海王星はうお座に戻ってくる。そして本格的にうお座を運行し、2025年ごろまでうお座にいる。正しくうお座の時代の達成がなされる。悪魔が法衣を着て人類をだましてきた時代は、正しく、うお座時代の達成において夢から覚める時代が迫ってきている。