3万円でホントに暮らせるか
月3万円で暮らすというと、ホントにそんなことができるのか、、、というご意見をいただく。私はできると思う。自分でまだ実験はしてないので偉そうには言えないが、シェアしあえればできると思う。
まず、家賃負担が大きすぎる。一人で住もうとするからだ。一人で7万円の家賃では、先が思いやられる。ちょっとくらい都心から離れてもいいので、思い切って月8万円の家もしくはアパートを借りる。もちろん一人ではない。5人で借りる。光熱費などを入れて月10万円。5人でシェアすれば一人2万円。都心を離れれば50平方メートル程度の部屋を借りられる。2段ベッドが2個一人は絨毯に布団でよい。これで5人分の寝床ができる。食事はかわりばんこに作ればいい。夕食当番を決めて、ローテーションで5人分をつくる。できたころ全員がそろって食事。費用は5万円しかないので、1日1700円。工夫すればできるだろう。ご飯は余分に焚いて、朝食と昼のお弁当にあてる。とにかく工夫だ。すると5人の中に、すごく豪華な食事を作るような人も現れる。中には何これ、、、というがっくりさせる人も出てくる。そのたびにやいやい言われる。やいやい言われ続けた人も、だんだんと上達して、褒められるようになる。すごいじゃん、、、成長成長、、とはやしたてられる。要するに楽しい。孤独でない。手ごたえがある。これだけでも人間の暮らしらしくなる。いまどき、仕事が忙しいのだから、全員が夕食にそろえるはずなどない、、、と考える人もいるだろうが、月3万円で暮らすためなのだ、仕事や残業などしている場合ではないだろう。重要度はどちらが上か。そう、これまではこうしたあたり前のことが実は逆転していたのだ。月20万円得るための努力よりも、月3万円で暮らすための努力の方が確実で健全なのである。仕事などよりもずっと上。とはいえ、まったく現金収入がなくては維持できないので、月7万円程度を稼ぐつもりで働けばいい。それで3万円の出費なら非常にグッドだと思う。余裕がある。月7万円を得るためなら、何も仕事の鬼になる必要もない。残業など不要。家に戻ったほうが利口。だから自分の時間が持てるようになる。5人いれば、情報がすごく手に入る。ダメ、ダメ、、、あんな会社に行ったら、いやな思いするよ、、、この仕事は結構いいよ、、、服はこうやって縫うんだよと、ミシンの腕前がある人がいると思うと、明日は釣りしてくるよとなれば、晩には活きのいいお刺身が出てくる、、、花火をもらったよ、今晩みんなでやろうよ、、、縁側を作ったよ、、、ああ、ビールがあれば最高なのに、、と思った時、誰かの電話が鳴ってその人の恋人が近くに来ているというので、ビールを買ってこさせる、、、なんだかすべてが面白い、、、楽しい。生きている気がしてくる。悲しみはみなが受け止めてくれる。同じ釜の飯を食った間柄だ。中には生涯の友情すら生まれよう。いやなら出ていけばいいだけ。こうした自由な暮らしの中から才能を発揮し、栄達する人もおそらく出てくる。5人の中には、生き方の下手な人もいれば、栄達する人もいるかもしれない。誰かがうまくいけば、その人は仲間にその成功のノウハウや色々なものを還元する気持ちとなる。生きるために仕方なく始めた月3万円のシェアが、とんでもない可能性の壺であることに気付く。その時の驚きはいかばかりか。人類は間違っていた、、、騙されている、、、そうした思いを、おそらく感のよい人は気付くだろう。
なんであんなに狭いトキワ荘から日本を代表する漫画家が多く育ったのか。シェアしあい、磨き合い、同じ釜の飯を食い、生き抜こうとした可能性の壺だったからだ。シェアしあう生活は本気で人間を救ってくれる。現代のあらゆる危機から救ってくれる。しかもこんなに面白いものはないと思える。つまらないと思うひとはやらなければいいだけの話。月3万円で都会で暮らすことは、我慢ではない。新たな生き方を生み、新たな価値を生み、これからの非人間的な時代に対する、最高の免疫力をもたらす。貧しき人は幸いである。彼らは新たな光を見ることになる。