ミスティ特集企画 「母殺し」脱稿

今月の17日に発売される雑誌ミスティの連載特集企画「母殺し」最終回は私の番だったのだが、つい先日やっと脱稿。ずいぶんとご担当にご迷惑をかけました。ごめんなさい。17日の発売だから、ほんとにぎりぎりだったことだと思う。最後の最後には森村先生からのアドバイスもいただいたりして、どうにか完成。4か月連続企画という新たな試みも楽しかったです。母との関係の異常から来る娘の人生の苦しみを、母殺しという心理解読によって楽にすることが目的だったこの企画だが、最終回では、実母から得たところの母のイメージと、実母から得られなかった母のイメージを、何かほかの母なるものから得ることで、両者を合体させて、とりあえず完成されたというか納得がいく慈母のイメージを作る。それを最終的に実母に重ねることで、一応、母殺しを終える、、という内容にした。実際に私も自分のケースでやってみたが、割とよかったと思うので、きっと幾人かの人は心が救われるかもしれない。またそうあってほしいと思った。本当に母との関係は複雑であるが、そこから永遠に抜け出ることはできないわけだ。どこかで慈母のイメージを確立させ、それをまた実母に重ね合わせる以外に方法はないと思うが、それ以外にも、自分を不孝に位置付け、その運命に耐える、、、という自己肯定の方法もあるにはある。しかしそれでも母なるものは必要だから、そこから逃げるとどうしてもいびつになるだろう。勝手に完成された母のイメージを作ってしまい、それを実母だと思ってしまった方が手っとり早いし、問題も少ないと思う。しかし母とは不思議な存在である。悪い母という場合でも、娘はそれでも母の愛を求めるわけで、そこに悲劇が起こる。慈母のイメージを完成させて実母に重ねるということは、実母との距離を無理なく開けられることにつながるので、運命が狂うことはなくなる。考えてみればこの世のあらゆる問題の根もここにある。なんで金を独り占めしたいのか、、、金融を壊し、経済を独占してまでもそこに執着するのかは、母なるものの不在なくして考えられない。怖いやくざのお兄さんの怒りには、母なるものへの怒りと復讐がある。意地悪な上司、官僚的な冷たさ、、、これも母がこの人たちから何か重大なものをスポイルしたに違いない、、、その出がらしで生きていかなくてはならないのだから、冷たくもおかしくもなる。学校でなんでこういうことをちゃんと教えないのだろう。不思議な気持ちである。
 関係ないが、アメリカの銀行決算が素晴らしいという報告。薄気味悪い現象が起きている。見えない形での所有権の移動がその背景にあるのだと思う。その証拠に勝者が欲しがらない小さな銀行は凄い勢いでつぶれている。金融と経済はいつ終えるかではなく、すでに終えているのだと思う。