ついにダッチロールに入ったアメリカ

オバマは一貫してビッグ3を破綻させないと言い続けてきたが、ここに来て急に11条の適用の検討に入ったと先ほどのニュースで見た。これは大変なことである。市場はある程度そのことを織り込んでいるという人もいるが、これは影響が大きすぎて織り込めない内容なのだ。このニュースの前に、シティをはじめとする金融を決してつぶさない、、、ということもオバマは明言している。FRBとの連名による発言なので間違いない。ならば、ここでよく考えてみてください。
 まず、金融はつぶさない、と言った。だからそうするでしょう。
 次に、GMに連邦破産法11条を適用する検討に入った。だからそうするでしょう。

 本来なら上記の二点には整合性はない。GMがつぶれたら、CDSという保険支払いによって、通常ならば金融は崩壊する。しかし、オバマとFRBは金融はつぶさないという。
 上記二点の矛盾を解消する方法はひとつしかない。無条件にお金を刷りに刷りまくる、インフレ決定ということである。上記二点が本当にそうなったなら、アメリカはついに覚悟を決めてインフレ策に入ったと考えて間違いない。お金の原資はアメリカ国債にある。今、これを買ってくれるところは、中国以外にない。小泉などを動かしてアメリカ国債を日本にも買わせるだろうが、そうしたところで救われる規模のものではない。金融を助けるとなると、デリバティブ商品の減価分をまかなうには、天文学的な金額となるので、通常の国債購入で賄えきれるものではない。ただ、日本や中国が買うという状況が続けば、表面的な平静をしばらくつくれるという時間稼ぎができるだけ。日本もアメリカの時間稼ぎのためだけにまさか国を売るようなことはしてほしくない。だがもしかしたらするかもしれない。そうなると日本も一緒にオダ仏となることが確定する。まさかそこまでのバカでないと祈るばかりだが、わからない。
 今回のインフレは20パーセントの減価を狙ったものだと思う。国債金利が20パーセントになると、長期国債の価値は〇になる。しかしそれはアメリカの信用失墜となるので、事態はそこではとどまらない。今回の波乱はソ連崩壊と同等のものになるに違いない。ソ連崩壊の絵はあまり日本では例によって報道されなかった。国家の危機については、国家幻想の消失を恐れるため、あえて報道させない、、、というバイアスがかかっていたのだと思う。だから日本人の多くは知らないが、それはすさまじいものだったという。要するに一言でいう、ハイパーインフレである。そのまさかにアメリカは舵を切ったと考えられる。例によって、日本のマスコミはことの重大性を何も語らないだろう。
 しかし事態の進展がやけに早い。私の予想をはるかに超えて早く進む。ほんとうなら、春から初夏ぐらいまで株価は上げて、それからまた第二段の下げに入ると思っていたのだが、なんだか一直線に落ちている。となるとこれは前回の大恐慌をはるかにしのぐ崩壊が起きているということになる。18世紀に一度、一挙に80パーセントも株価が減価したことがあったが、それと同じパターンなのだろうか。私の予想すら超えているのでわからない。いずれにせよ、ブッシュは穴のあいた戦艦をオバマに引き継ぎ、自分はタグボートで悠々と戻って行った。穴のあいた浸水中の戦艦なので、戦おうにももう時間がないと思う。こういうケースではアメリカは戦争に打って出て内需拡大し、仕切り直しをするつもりだったのだろうが、ネオコンすらはめられている。もう戦争する力もないのではないか。アメリカは壊されるべくして壊されていると考えなければ、こうした事態を読みとることはできない。米ソ冷戦以降の、究極の世界運営の方法が、双頭の争いから、多国籍に変化していく過程での出来事なのだ。日本の次のビジョンは、そのことがわかっている政治家が出てくるまでお預けであり、それまで国民は自衛して耐えることが大切となる。