子供銀行券
おもちゃやさんへ行くと、子供銀行券を売っている。少しだけお札に似ていて、大きさはかなり小型の銀行券。買い物ごっこなどで遊ぶためだが、買うと結構する。安いところでは100円ショップでも売っているけど。
どこの国も今、ものすごいスピードで凄い量のお金を刷りまくっている。デリバティブが崩れたのだから、その損金分のキャッシュが必要。だから現在は流動性不足によるデフレが急速に起きている。レバレッジで膨れ上がった損金分のキャッシュなどこの世にはないので、大至急、お札を刷るしかない。どんなに刷ってもブラックホールのようにお金が吸収されていくので、いまのところはインフレは起きようがない。しかし、もう少したって、とりあえずの穴埋めができた際に、穴埋めした分の信用が市場に流れだしたとするとどうなるのか。一転して急激なインフレとなる。問題はそれがいつ、、ということ。あまりに刷りすぎたお金は価値をいずれ減価していき、100円ショップで売っている子供銀行券よりも安くなってしまうかもしれない。本当にそんなことが起こるのかはわからないが、ちょっと前の大国、ソ連でも、東ドイツでも、実際に起きている。今度はさらに大規模な崩壊なので起きないと考える方がおかしい。大量に刷ったお金を吸収できる、新たな産業や未来図やまたは戦争による出費などで、お金の使い道がない場合、インフレが起こる。それもアメリカは通貨供給量のM3をこの数年発表しなくなったことで、ものすごい量のお金が刷られ、かなりその価値は薄くなっている。あのソ連の時には、ルーブルは最終的にどのくらい安くなったのだろう。数億分の一に減価してしまったのではないだろうか。古い紙幣は紙切れになったのだ、結局。ドルのばらまきはさらに上を行っているはず。基軸通貨という幻想によってのみ支えられているドル。そのドルをまだ価値があり、十分に使えるお金だ、、、という信仰を維持させるためだけに、いまアメリカはあの手この手を使っている。しかし大量の国際的な決済の必要な取引では、ドルは次第に嫌われ用心されだしている。そのことが招く信用収縮、貿易収縮、経済収縮が大きくなっている。半年後、一年後のドル決済に誰もが二の足を踏むようになっている。グリーンスパン自ら、公演料をドルでなくて、ゴールドでくれ、、と言った話しは有名。みんなドルをもう信用してないが、ドルを吸収するブラックホール、すなわち損金回収があるので、ドルを刷っても刷っても足りない。だからドルはまだもっているという逆説的不思議。中身のない人間が、まだ組織の上にいて威張っている風景に似ている。本当はもう彼らに力などない。だが、まだタイムラグがあるので威張っていられるだけ。政治家、そして官僚、大企業の上のほう。ビジョンなき怜悧な計算高さでもっていただけの人は去っていく。あと数年以内にもしかしたらドルよりも子供銀行券のほうが高いということが起こるだろう。借金の返済におわれる人は何としてもいまドルが欲しい。その状況がひと段落したとき、清算がある程度国の印刷でまかなったあと、恐ろしいインフレが世界を襲う。ドルは損金の穴埋めに必要なだけで、もう未来を作る力はない。火事を止める水は今欲しいが、火事が止まれば、もう水は不要。しかもその時周囲は水浸し。鎮火後の水がすなわちインフレ。どうにもならない。まったく価値なし。いま、起きているのはそういう状況。
私たちが信奉し、中には人殺しまでして得ようとする人もいるマネーも、実際には子供銀行券よりも価値がなくなる時が来る。このままではきっとそうなる。だから何かをたくらむだろう。ルールを変えるだろう。価値のないものが生き伸びを図ろうとする以上、本当に価値あるものを犠牲にするしかない。これまでも円がドルを助け続けていた。これからもこの構造は日本の政治を見る限りは変わらないので、価値ある円がだまされるのか、きっとそうかも。そのあたりはやはり気をつけていかなくてはいけない時代になったと思う。