春の嵐
春の嵐が経済界もおそっている。その昔ブラックマンデイという一週間の大暴落があったが、ややそれに匹敵する嵐である。ただ面白いのは、普通、株にしろ商品にしろ、暴落時というのは、買い手がないまま、値段をするする下げていくケースがほとんどである。しかし今回の下げは物凄い出来高をともない、買う人がいることを示している。弱気筋から奪い取る相場展開だ。これで世界不況になる、という意見が多いが私は逆だとおもう。弱気筋から奪い取る強奪相場なのだ。ブラックマンデーのときもよく覚えているが、恐慌どころかあれから世界の株価は上昇し始め、日本ではバブルとなった。今回も上昇のスタート時に見られる一種の儀式であり、ふるい落としだとおもう。しかしこうなると普通の投資家はどうしてもついていけなくなる。やはりわれわれ貧乏人を置いてきぼりにして、これから金持ち相場が長いこと始まっていくのだろう。私は昔から相場やギャンブルが好きだった。冥王星がルーラーでしかも天頂にあるせいだろうか。子供の頃から相場師の伝記を読んで興奮していたのだからおかしな子ではある。納会があと数日という売り方、絶対絶命というときに、このままでは渡す品物がないので暴騰納会確実という段で、トラック100台を手配して生産地から二日徹夜で小豆を運び時間ギリギリで納会に間に合わせて急落納会で一財産を作った、なんて話を夢中で読んでいた。これが男のドラマだ、、、なんて思いながら。是川銀蔵の仕手戦なども夢中になったが、こうしたことは現代では少ないものの、先を見通すという観点にたつと今だって心打ち震えるものがある。たとえば、私は兼ねてから資源の時代だと言っているが、このまま使っていくとあと20年でほとんどの地球資源が実はなくなるらしい。そうなるとこれまでは先端技術が重要視されたが、今後は資源確保の視点が重要になることは明らかだ。資源の問題をクリアするには二つの方法しかない。経済発展のスピードを止めるか、資源の争奪戦を国単位でも行うか、の二つ。今回の暴落が前者の形でのものなら今後経済は縮小していくことになる。しかし中国、インド、ブラジル、アジアなどの師前成長を本当に止めることは可能だろうか。どのみち資源の争奪は始まるのではないだろうか。ロシアはその点、明確に国家路線として資源戦略を一貫してとっている。そこに目をつければ、実は物凄い未来増が相場的には浮かび上がる。たとえば、パラジウムという白金族の金属は、ロシアが半分以上生産し、残りは南アフリカという極めて偏った供給の形をしている。しかもロシアのたった一社が掘り出しているもので、ノルリスク社という会社だが、この一社で世界のパラジウムの半分を生産していることになる。もしこの企業が国営化されたら、パラジウムは戦略資源になることは火を見るよりもあきらかだ。しかもこの金属は消耗品だから、地上在庫が少ない。投機用に持っているのも統計上はゼロに近い。もしロシアがこの金属を戦略的に扱い、その供給をストップさせたとしたらどうなる。そう、いくらでも高くなる。実際に10年ほど前にソ連はそれを行った。かつてノルリスク社は国営企業だった。その時、ソ連は供給をストップさせてわずか1オンス150ドルだったパラジウムを1050ドルまで急騰させた過去があるのだ。私はもしかしたらまたやるのでは、、、という観測をもつ。資源主義のプーチン大統領なのだ。私がもしそう考えて、パラジウムを現物でかい出し、多少とも蓄えたとして、本当にプーチンが大統領命令でパラジウムの供給をストップさせたら、、、そう、私は大きな利益を上げられる。これはひとつの例で語るだけで、別に私はパラジウムを買うつもりはないものの、未来を見通すことでもしかしたら財産が作れる、というのは、男にとっては本当に面白いことなのだ。そして値段が上がりだしてから買いだす人はおおぜいいるが、まだその気配も無いうちから、そうした未来を読んで一人で対応しだす人は、まったくいないに等しい。そこに相場師のロマンがあるのだと思う。女性の場合は、私、将来どんな人と結婚するのかしら、、、きっとこんなパターンでこうやって出会うのかな、、、なんて予測する楽しさと似ているかもしれない。時代の動きが早くなっている。未来洞察の大切さは今後ますます高まるとおもう。人は今起きていることが未来も同じように続くと思うものだ。しかしそれは違う。ことに切羽詰った状況に陥っている世界と日本は、展開が速くなっている。10年後には起こるかも、ということが数ヶ月に起こっているのが今の時代だ。そこに自分の予測行動をはめ込むことは実に面白いことだと思う。