荒川静香

荒川の顔を見ていたら何かをやる顔をしていた。あの顔を覚えておいたほうがいい。人には奇跡を招く顔つきがあることを私は昔から感じていて、まさに荒川はその顔をこの数日していた。秘めた闘志と集中力、静けさ、結果を超越する覚悟、そいうものが顔に表れる。スポーツ連盟とか、国とか、周囲の期待とか、そういうものが人をダメにしていく日本の古き体質は、壊されていくだろう。荒川の勝利の意義は大きい。日本は貿易黒字よりも債権投資の利益がそれをはじめて上まわった。これからの日本の行く先は債権大国の道である。そのさい、ビジョンがとても重要になる。これまで日本をがんじがらめにしばり、まるで社会主義国のようにしてきた多くくの機構、組織、国家の概念が、変わろうとしている。変わらなくては債権国家としての未来が見えてこない。横取りだけ考えるようなやからに囲まれていては、国は伸びない。お金を投資して何を育て、伸ばすかは、ひとえに国家の品格にかかっている。荒川の表情、そしてそれがもたらした結果に私は日本のつぎのあるべき姿を感じる。彼女はスケート連盟からも周囲からも、従来の日本的期待と別ルートでオリンピックに望んだ。それが良かった。それを押し通したところが荒川の勝利であった。