複雑系の政治様相
思惑に沿って計画実行する事柄でも、思わぬ方向に行ってしまうことがあります。
現代は複雑系の時代です。思惑通りに物事は進まず、思いもしない事態をもたらすことが多くなっています。
当初、反安倍政権の旗印で活躍すると思われた小池百合子氏。希望の党を立ち上げましたが、民進党と合流吸収し、意気揚々の選挙戦船出でした。
ところが、その直後、小池氏は希望の党に入れるのはすべての民進党員ではありませんと、突然に言い出すことに。
踏み絵があるというのです。その踏み絵の内容は、それをしたらどうということはない、自民党とほとんど同じという内容。
その上、改憲に反対してはいけないなど、改憲内容の如何に関わらず、党が決めた内容に従ってもらう、、、という驚きのおまけつき。
自民党以上に自民党的だぞ、、と驚く人々。小池氏の本音が正直に出てきたとも言えるのですが、安倍政権を倒すためにと頑張ってきた人々にとっては、一体どういうことなのかと、キツネにつままれたような思いがしたことでしょう。
結果的にリベラル派の民進党員はすべて排除されることになりました。
本来、民進党、かつての民主党はリベラルだったはずで、その代表であった鳩山氏を追い出し、小沢氏を追い出して反リベラルが党を乗っ取った雰囲気もありました。
民進党にとってリベラルは譲れない最後の砦でもあったわけで、その中枢は置いてきぼりとなったわけです。
各自、仕方なく無所属で選挙戦に突入するしかないか、、、と悲嘆にくれた時、枝野氏が思い切りのよいやぶれかぶれの捨て身で作ったのが立憲民主党。
民進党を解体消滅に導いた前原氏は、予想内の動きですと強がりますが、まさかにわか作りの立憲民主党人気がこれほどまでに高まりを見せるとは思っていなかったことでしょう。
小池氏も自分の人気がこれほどまでに急速に落ちていくとは、こちらも思っていなかったはず。
複雑系が動きだしているのです。これから選挙戦が二週間ほど続くことになりますが、複雑系は色々なところでこれからも出てきて、思わぬ展開になっていくことでしょう。
強引な力の理論をよそに、思わぬ方向に進んでいくかもしれません。
安倍政権は選挙後にどうなるのか、、、三極に別れた選挙となりそうですが、そうなれば、やはり自民党は強いのか、それとも、絶対に自民にだけは入れない、、、という層が強いのか、、、やっと新たな受け皿に近い立憲民主党がこれから大きくなるのか、、、、予想がつきませんが、いずれにしても複雑系での結論がでてくるはずです。
思わぬ結果で出るのか、、やはり自民が勝つのか、、、希望の党が力を盛り返すのか、、、立憲民主党が大きな政党となるのか、、、、
どういう結果かはわかりませんが、たったひとつ、わかっていることがあります。どこが勝とうが、勝ったからよかったかどうかは不明であるということです。
例えば、自民が勝ったとして、これからも安定した政権運営を続けることができるのか、、、森加計問題は国会が始まったら待ったなしです。
希望の党と自民が両者で圧倒すれば、森加計から逃げられた安倍氏ですが、立憲民主の存在がありますから、逃げることは容易ではないでしょう。
すぐに戦争などがない限り、逃げられない状態になることは確実です。多数を持ったからと言って、何も安泰ではありえません。
希望の党も同様です。どんなに勝ったとしても、勝てば勝つほど、とにかく実力がないと思いますので、醜態を表す可能性が高く、あっという間に人気割れとなるでしょう。
今回の選挙の面白さは、それに勝ったからと言って、決して安泰にはいかない可能性が高いのです。
本当の実力、そして正直な運営、情報の開示による国民との一体感がない限り、これからの政権は安定しないと思います。
あれだけ人気があった小池氏が、排除の論理をかざしただけで急速に人気失墜。今、民衆はすぐに強権発動するような上の存在が嫌いなのです。
威張る人が嫌なのです。草の根にしか真実がないのではと、感じだしているのです。
森加計問題をもっている安倍氏は戦争などよほどのことが起きない限り、たとえ選挙で勝っても総理総裁を降ろされる可能性が高いと思います。
希望の党と組んで早急に憲法改正に走ることでしょうが、そのことで希望と自民の本当の狙いが国民に伝わり、憎悪の対象にさえなっていくかもしれません。
そうした政権の唯一の救いが国家危機という、危ない政権になってゆく可能性も確かにあるでしょう。
しかし、私たちは今、インターネットの時代に生きていますので、どんなに隠しても、真実はやはり伝わります。
強権でいくらそのことを隠しても、時間が立てば、何が本当だったのかはわかる時代なのです。なので、強権政治による永遠の成功はあり得ないのです。民意もそうしたことを本当に嫌がるようになっていきます。
ところで、山本太郎氏は参議員ですが、希望には行くことはないということだそうですから、自由党と立憲の合流はいずれはあるかもしれません。
そうなると新たな受け皿の厚みが出ますので、42パーセントと言われる支持政党なしの層を多少なりとも動かせる可能性が高くなります。
そうした方向が先か、もしくは、自民希望の一体政治が、日本に襲い来る危機を良いことに、その強権維持をもくろむことができるか、、、二つの方向が見えてくるわけです。
これからの二週間の動きをゆっくり見ていきたいと思います。